ハワイ州での会社登記の詳細
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ハワイ法人は、アメリカ合衆国ハワイ州の法律に基づき登記されます。
日本の会社設立方法と違いますので注意が必要です。
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登記に必要な書類
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ご存知のように、日本で株式会社・有限会社を設立するには、「登記申請書」「定款」「保管証明書」「印鑑届書」の提出が必要です。これに対しハワイ州で会社を設立する場合、
【Articles of Incorporation(基本定款)】という書類の提出だけで、法人登記ができます。
これは日本の「登記申請書」のようなものです。
日本での「営業所設置登記」が前提になりますので、【Articles of Incorporation】の内容をしっかり吟味しなくてはなりません。日本で「営業所設置登記」をする際の添付書類になるので非常に重要です。
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弊社では法律事務所や専門の弁護士事務所・日本の司法書士事務所と連携し、米国でもしっかりプロテクションされ、日本でもスムーズに登記できるような
【Articles of Incorporation】 を用意します。
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また、【Bylaws(付随定款)】という書類があります。これは日本の「定款」のようなもので、会社独自の決め毎などが記載されます。米国ではこの【Bylaws】の提出義務はありません。【Bylaws】はファイリング(登記)しませんが、【Articles
of Incorporation】が【Bylaws】を認めるという形になっています。
・・・アメリカは全てが法で守られる社会です。登記をするということは、ハワイ州の法務局に「ファイリング」されるということですので、当然ながら法律はファイリングされた内容に対してプロテクションをします。ですのでこの2つの書類は重要です。
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類似商号調査
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米国ハワイ州では類似商号の調査が必要です。
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これは同一の地域で同じ商号(会社名)を認めないというものです。
具体的な類似商号調査は、まずお申込みをいただいた時点で「事前チェック」を行いますが、これはあくまでも同一会社名のみの事前チェックです。場合によると類似商号に引っかかるということで却下される場合もありますので最終的に自分の会社の商号が確定するのは、登記完了時点ということになります。
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登記できる会社の種類
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設立する会社はアメリカ合衆国における【株式会社】になります。
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株式会社の表記
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省略形
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Incorporated
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インコーポレイテッド
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Inc.
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インク
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Corporation
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コーポレーション
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Corp.
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コープ
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Limited
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リミテッド
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Ltd.
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エルティーディー
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いずれかの名称を会社名の後ろに付けなくてはなりません。
省略形には会社名と上記種類の間に(,)カンマを入れ、後ろに(.)ピリオドを付けます。
上記の種類はいずれも日本の【株式会社】に相当します。
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米国法人の構成について
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通常日本の株式会社には「株主」と「取締役」の存在があります。
「取締役」が複数いる場合は「代表取締役」を定めることが規定されています。
「株主」というのはいわば会社のオーナーであり日本の登記簿謄本には記載されず、
記載されるのは「取締役」です。
これに対して米国の株式会社の場合は・・・
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(1)
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【Stockholder】
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株主
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・会社のオーナー
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▼
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(2)
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【Director】
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取締役
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・会社のオーナー(1)が任命する。
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▼
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(3)
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【Officer】
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役員
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・取締役(2)が任命する。
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という三段階構造になっています。
そして【 Officer 】 には、次の4つの役職が必要になります。
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Officer (役員・執行役員)
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President
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社長
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Vice president
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副社長
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Treasurer
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財務役
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Secretary
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秘書役または総務担当役員
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※ 全て一人で兼務することも可能
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日本で言う 「株主」 とは 【Stockholder】 と 【Director】 を合わせたような存在、「取締役」 というのは 【Director】
と 【Officer】 を合わせたような存在に近いということです。
日本で支店登記する際には、取締役として 【Director】 を記載します。
※ 必ずPresident(社長)が 【Director】 を兼ねて下さい。
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Incorporator と Registered Agentについて
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米国で会社を登記する際に 【Incorporator】 と 【Registered Agent】 が必要になります。
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【Incorporator】
日本の「設立発起人」に近い存在で【Incorporator】が実際に「Articles of incorporation(基本定款)」にサインをしてファイリング(登記)します。
「この会社は確かにこの内容で間違いありません」というサインをします。
【Incorporator】は会社が設立されますと役目が終わります。
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【Registered Agent】
日本で言うところの「会社の管理人」ということになります。
州政府が会社のに電話や郵便などの通知を出す際に、その役員が離れた州にいたり海外だったりすると追っかけるのが大変です。そこで州内に確実に存在する【Registered
Agent】を定め、「Articles of Incorporation(基本定款)」に記載します。以後、州政府からのさまざまな通知(会社の更新登記や税金関係など)はこの【Registered
Agent】宛てに届きます。
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【Incorporator】と【Registered Agent】は、株主でも取締役でも役員でもありません。
会社に関わる権限は一切ありませんので、社内スタッフである必要はありません。
逆に会社が「虚偽の登記申請」をしていた場合には、【Incorporator】および【Registered Agent】も罰せられます。
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弊社では 【Incorporator】 【Registered Agent】 ともにワイキキオフィスがなっています。
これに関わる費用も設立料金に含まれております。
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資本金について
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最低1$の資本金でも会社は設立できますが、銀行の法人預金口座開設や将来的なビザのことを考えると最低1000ドルくらいの資本金が望ましいところです。
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基本的には1株=1ドルで発行というのが一般的です。
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1000ドルの資本金の場合は発行株式は1000株(1000ドル)ということになります。株主が1人の場合はその人が1000株の所有者です。複数の株主がいる場合はそれぞれの持株数を決めておきます。
株主のお名前と住所はハワイの「Articles of Incorporation」に記載されます。
日本と違い、米国の会社では資本金の入金期日の規定がありません。つまり銀行口座を開いて資本金を入金する前でも会社設立ができてしまいます。したがって資本金の入金は会社設立後、法人口座を開設する時で構いませんし、日本で営業所設置登記をする際も、米国での口座の有無や資本金の入金の有無は問われません。
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事業目的に関して
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ハワイでの会社設立に必要な事業目的(定款事項)はアバウトで大丈夫です。
(1) インターネット関連事業
(2)不動産業
(3) コンサルタント業
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日本登記は慣例により、具体性・明確性が求められ、判例や通例などにより判断されますので、支店登記をする際の事業目的と同じ内容で登記書類を作成せねばなりません。
事業目的の書き方がよくわからない人は、管轄の法務局で登記官にお聞きするか、インターネットで「事業目的」等の検索をされると、ある程度調べられます。
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また、弊社提携の司法書士事務所と連携で目的に関するご相談もお受けいたしておりますので こちら までご相談下さい。
弊社では目的の最後に「前各号に附帯関連する一切の業務」という一文を入れます。
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2006年5月1日の会社法施行に伴い、法務省通達の“会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて”より、「会社の設立の登記等において、会社の目的の具体性については審査を要しないものとする。」
となりました。
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総発行株式数(授権資本額)と発行済み株式数
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総発行株式数(授権資本額)とは、その会社が発行できる株式の総数です。
発行済み株式数とは、実際に設立時に発行された株式数のことです。つまり資本金は発行済み株式数と同じになります。
通常日本で会社をつくる場合は、総発行株式数は発行済み株式数の4倍までというような規定がありますが、ハワイの会社にはこのような規定はありません。
弊社では総発行株式数は100万株(100万ドル)として書類を作成しています。
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会計年度に関して
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米国会社の会計年度は、基本的に毎年1月1日から12月31日までです(12月決算)。
多くの会社がこの会計年度を採用しています。
その他、四半期毎(3月決算・6月決算・9月決算)の会計年度が採用されています。
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1月1日
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〜
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12月31日
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までの会計期間
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(12月決算)
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4月1日
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〜
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3月31日
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までの会計期間
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(3月決算)
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7月1日
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〜
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6月30日
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までの会計期間
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(6月決算)
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10月1日
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〜
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9月30日
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までの会計期間
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(9月決算)
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いずれにしろ、米国の会社はこのどれかでないと、会計処理がややこしくなりますので、よほどの事情のある方以外は、1/1〜12/31の会計年度がお勧めです。。
これで会計期間を決めますと、日本の会計期間も同じになります。
(同じにしないと合算決算の必要が出たときに面倒になります)
日本での都合上、どうしても上記4つ以外の決算期を選択したい方は、
ご希望の会計期間をご指定の上ご相談ください。上記の4つはあくまでも「推奨」です。
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ハワイ法人の住所に関して
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弊社では登記用の住所としての名義貸しをおこなっています。
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これはハワイの住所を登記用にお貸しするもので、この住所がお作りになる会社の「本店所在地」となります。この住所はホームページや名刺等に使用できますが、それを見て誰かが訪ねて来ても弊社では応対はできませんので名刺等には「本社:アメリカ合衆国ハワイ州ホノルル」くらいまでの表記に留めて下さい。
また、この住所は各種契約などの主契約住所にはお使いになれません。
契約などの場合には必ず日本の住所を主契約住所にして下さい。
この登記住所を維持する為には、弊社を通じての毎年の更新が必要です。
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ハワイ法人の登記日について
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日本の登記は、登記申請書を提出した日が「登記日」になります。
登記そのものは書類を提出してから1週間〜10日程度で完了しますが、登記日は遡って書類を提出した日になります。
ちなみに「登記日」は登記簿謄本にも記載される「会社の設立年月日」です。
ところがハワイの登記では、書類を提出した日や受領した日ではなく、ファイリング完了した日が「登記日」になります。しかも書類を提出してから登記完了までの日数が決まっていませんので日本のように「登記日」を指定することはできません。
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ハワイ法人の会計に関して
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米国の会社は本来「全世界所得による申告と納税」が基本です。
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これは米国以外の国の収入や支出も合算で組み入れて、利益や税額を計算するものです。
簡単に言うと・・・
「(米国での収入+日本での収入)-(米国での経費+日本での経費)=利益」
ということになります。この利益から米国の税率によって納税額が算出されます。
一方、日本には 「日本国内に源泉のある収入分だけを国内で申告し納税する」 というルールがあり、「日本での収入 - 日本での経費=利益」 で、この利益から日本での税額が算出されます。もちろんこの税金は日本で納めることになります。
ただし、日米の間には 「二重課税防止協定」 がありますから、日本で納めた税金分は米国で納める必要がありません。
「(米国での収入+日本での収入)-(米国での経費+日本での経費)=利益」
この利益から算出される税額から、日本で納めた分は差し引きます。
「米国で算出された税額 - 日本で納めた税金分=米国に納める税額」
ということになります。
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●税務会計のポイント
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上記の「全世界所得による申告と納税」が原則にはなるのですが、そうすると日本とアメリカ両国で会計処理をしなければならなくなります。わかりやすく言うと、日本では日本の税理士さんにお願いして決算処理をし、さらにハワイではハワイの会計士さんにお願いして(英文による)決算処理をするということで、会計費用も倍近くかかります。
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ハワイの本店でも日本の支店でも売り上げがある会社は仕方ないですが、ハワイの本店がペーパーカンパニー、つまり実際には日本の支店でしか活動していない会社にとっては結構痛手です。そこでハワイの会社がペーパーカンパニー(売上ゼロ)の場合は、日本でだけしか決算処理をしない場合がほとんどのようです。つまり日本の分は日本で申告と納税をする。ここまでは正規の方法と同じです。 その後、ハワイの本社ではハワイの活動分だけの申告と納税をします。と言っても活動してないわけですから、申告書にはゼロと記入して提出します。結果的に納税額もゼロになります。これは本来は正しい方法ではありません。
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しかし、ハワイの税務署もハワイの会社の支店がどの国にいくつくらいあって、どういう活動をしているのかまでは把握できません。 そこで、ペーパーカンパニーの場合などは、通常の米国内の企業と同じように国内の申告だけでも済んでしまっているようです。ただしこの方法の場合は注意が必要です。本来日米の本支店間では「どちらかの赤字をどちらかの黒字で補填ができる」とか「本支店間での資金の流用」が認められていますが、それは「全世界所得による申告と納税」を行うことを前提としています。
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